高性能鋳鉄床版の研究開発

 
日本の橋梁は経年による老朽化が進んでおり、特に採用実績の多いRC床版は劣化が著しく更新の必要性が指摘されていますが、古い橋梁の橋脚および基礎は耐震性が不十分なものが多く、同じRC床版で更新することには問題があります。一方、鋼床版はRC床版と比較して重量が軽く耐震性の向上が図れるなどのメリットもありますが、溶接部に疲労損傷を発生しやすいことが問題となっており、問題解決のためには、軽量でかつ疲労耐久性の高い床版の開発が望まれています。
新たな床版材料として提案する球状黒鉛鋳鉄は、普通鋼と同等の性能を有する材料であり、『鋳造』は複雑な形状を一体成形できるという特徴を有し、溶接が不要となります。加えて、コーナー部などでの応力集中を、板の増厚や丸み付け(R化)により緩和できるため、高い疲労特性が期待できます。
当社では、このような鋳鉄の特性を活かし、道路橋示方書に準じた中で、疲労耐久性に優れ、橋梁の耐震性を向上させる高性能鋳鉄床版の開発1※2 に取り組んでいます。


※1 国土交通省 新道路技術会議 公募研究

  • 研究テーマ名高性能鋳鉄床版の開発
  • 研究代表者__山口栄輝(九州工業大学 大学院 教授)
  • 2014年度___革新的研究調査(FS)テーマとして採択
  • 2015年度___:新規研究テーマとして本採択
  • 2016年度___:研究継続
  • 2017年度___:研究継続(最終年度)
  • 2018年度___:事後評価
  •  


 


※2 鋳鉄床版 施工研究

  • 委員長 :渡邊英一(京都大学 大学院 名誉教授)
  • 委員__:山口隆司(大阪市立大学 大学院 教授)
  • _______一般財団法人 阪神高速道路技術センター
  • _______成和リニューアルワークス株式会社
  • _______佐藤鉄工株式会社


性能試験

静的載荷試験

載荷荷重300kN前後でリブ先端が塑性域に達し、
最終941kNまで載荷、約50mm残留変形したが、
き裂はなく十分な塑性変形性能を有す

定点載荷疲労試験

155kN(振幅荷重)×1000万回、
σ=200N/mm2(=σa=σy/1.7)
疲労き裂は認められず、高い疲労耐久性を有す

輪荷重走行試験

157kN(一定載荷)×100万往復(200万回)、
支間長3m、走行ストローク4.6m
最終的に耐荷性能低下の損傷は無い

施工性試験

床版吊上状況

鋳鉄床版パネルを高力ボルトの摩擦接合で
橋軸方向2パネル×橋軸直角方向5パネルの
計10パネルを接合した架設ブロックを施工
 
●施工性試験 映像(3分44秒)/施工研究会LinkIcon
※この動画にはBGMが含まれています。再生の際は音量をご調整ください。 

床版設置状況

設置サイズ:4.6m×8.0m
(架設ブロック2.3m×8.0mを2枚設置)
主桁支間長:3.0m